|
鬼ごっこ、かくれんぼなどの子供の遊びには、かならず誰か一人追いかけたり、見つけ回ったりする役柄の人を決めなければなりません。そんなとき私たちはすぐに石〔じやん〕拳〔けん〕で決めようといいます。片手の五指の伸び曲げの組みあわせで、三竦みの関係にある事物の象徴のうちの一つをつくり、その優劣で勝ち負けを決めるのです。
三竦みの代表例は石、鋏、紙で、石は鋏に切られないから鋏に勝ち、鋏は紙を切りさくので紙に勝ち、紙は石をつつみ込んでしまうので石に勝つというものです。韓国、台湾では紙のかわりに風呂敷きや布が使われます。
中国では、娘、簪、犬が、インドネシアでは象、人間、蟻が、シンガポールでは水、石、竜が、ミャンマー(ビルマ)では軍人、虎、司令官がというように、いろいろな三竦みの関係をつかった石拳が東洋の国々では使われています。
アメリカの西海岸の地方で・JackandPoh・Icanshow"というジャンケンポン、アイコデショに似た感じの掛け言葉を使って日本式のものが行われているようですが、それは日本人がもち込んだものでしょう。
欧米では何かことを決めるのに、ほとんどコイントス(cointoss)を用います。近代スポーツのもっとも古いものの一つであるボクシングがイギリスで始められ、一八三八年(江戸末期)ロンドン・プライズリング・ルールという二九ヵ条よりなる規則ができたときに、リングコーナーを決めるには硬貨を指で空中に弾き上げて、その裏か表によるという条文がありました。明日の天気を占うのに片一方の下駄
を足で投げすてて、裏表をみた日本の古い時代の風俗と似ていますが、今日ではほとんどすべての国際的スポーツ大会のゲーム前のコートサイド選び、先攻後攻の選択などにはコイントスが用いられています。
さて、じゃんけんが考案されるまでには、草や木の葉をからませ合って引き合う「松葉切り方式」や、足もとの草を引きちぎって長さで決定する「くじ引き方式」、また一本の棒を端から交互に握り進めて最後の部分をどちらが握るかで決める「握りとり方式」などが使われていました。
しかし、手元に何も物がない、たとえば海水浴で鬼ごっこをしようとするときなど、じゃんけんが禁止されたら本当に困るでしょう。もっとも最近の子供なら「あっちむけ・ホイ」で決めるでしょうが大勢の場合なら大変です。
このように裏か表かという運を天にまかせる方式のコイントスではなく、相手の心理を読んで自分の判断で手指の格好をつくり、何ともユニークな相〔あい〕子〔こ〕という勝負なしを含むじゃんけんを子供の時からやるので、日本人はその考え方が西欧人と違うのだとか知能指数が高いのだといわれます。どうなのでしょうか。
|